梅干しノート
梅干しを漬ける上でのポイントをまとめておきます。随時更新予定です。
梅干し漬けレシピ
実際のレシピはこちらをご覧ください。
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準備のポイント
材料
熟した梅を用意する。売れ残って熟している梅よりも、完熟梅として仕入れられた梅を仕入れ日に購入したいところ。
大きさは好みによる。小さいと固め、大きい方がジューシーな梅干しに仕上がる。
道具
漬け樽、重石、干しざる、竹串、ボウルがあればよい。樽、干しざるがない場合は代用でも良い。
樽の代用としてはジップロック。Lサイズのジップロック1枚で1kgずつが漬けやすい。干しざるは100均のもので十分。干しざるがなくてもお皿、綺麗なダンボールなど梅干しを干せればいいだけなのでなんでもよい。
ジップロックを使用する利点を以下にあげておく。
・樽、重石などの道具が不要。
・お手軽に漬けれる。
・空気を遮断できるので、重石も不要になる。
ジップロックに入れ、しっかりと空気を抜いておけば梅が空気に触れないためカビにくい。よって重石も不要である。
・樽漬けにくらべて仕上がりが悪いということもない。
ただし大量の梅を一気に漬けたい場合は、大きな樽で漬けた方が効率が良い。1,2キロ漬けるだけや、塩分濃度を変えたり、いろんな梅で漬けたい場合は1キロごとにジップロックに漬けたほうがやりやすい。
道具選びに迷ったら、こちらも参考にしてみてください!
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大まなか流れと期間
(1)梅の塩漬け:1週間~1ヶ月くらい
(2)赤紫蘇漬け:1週間~1ヶ月くらい
(3)土用干し:3日3晩
(4)熟成:3ヶ月以上~
塩漬け工程のポイント
塩分濃度
10~12%:塩分控えめでヘルシーで食べやすいが、保存性がおちる。数ヶ月で食べきるならありだが、塩分が低すぎるとカビやすいので注意。
13-15%:食べやすく、保存性も悪くない。バランスがよい。
16-17%:少し塩分強め。より保存性を高めたいならあり。
18-20%:昔ながらの梅干し。塩分は強いが、保存性が高い。
それ以上:昔は50%で漬けるようなこともあったようで、そんな梅干しは何十年ともつらしい。
カビの発生対策
・塩分濃度を低くしすぎない。13%以上がよい。
・梅を洗った後、水分をしっかりと拭く。
・容器を熱湯消毒(熱湯をかける)、キッチンペーパーに除菌スプレーやホワイトリカーをかけて拭く(アルコール消毒)。ジップロックの場合は食品用の新しいものを使用する。
・容器に入れてから梅にホワイトリカーをまぶしておく。
・梅酢があがってくるのが遅いとカビやすい。
・塩漬け時に最初から梅酢(過去の残り)を加えても良い。その場合は、塩分濃度が同じものであることが望ましい。
・梅酢がなかなかあがってこない場合は、塩分濃度を濃くしてみる、重石を重くするのも方法の1つ。
・梅酢が完全にあがる前がカビやすい。梅酢があがってくるまでは冷蔵しておいてもよい。梅酢にしっかり漬かればカビは発生しにくい。
・塩漬け工程でカビてしまった場合、小さなカビならその部分だけ取り除く。容器、重石をアルコール消毒し、ジップロックなら新しいものにとり替える。
赤紫蘇漬け工程のポイント
・葉裏が緑になってしまっている赤紫蘇は色素が落ちてしまっているため、質が悪い。できるだけ取り除いて使用しないほうがよい。
・赤紫蘇の量は、赤紫蘇の葉のみで(色素が落ちたものを除く)、仕込んだ梅の重さの20%以上が望ましい。
・塩揉み時の塩分量は、赤紫蘇重量の18%が安定。
・梅酢がしっかりあがってから赤紫蘇漬け工程に入るが、紫蘇が早めに手に入った場合は先に塩もみをしておいて、紫蘇はそのまま冷蔵しておけばよい。
・どうしても染まり具合が悪い場合は、塩もみした赤紫蘇を新たに追加する。
赤紫蘇漬け工程でカビてしまった場合
・カビが生えたところを取り除く。容器を消毒しなおす。
・全体にカビがまわってしまったらあきらめるしかない。
土用干し前に梅酢が発酵してしまった場合
・揺すると細かい気泡が出てきたら発酵が進んでいる。その場合は梅酢だけを取り出して、鍋でひと煮立ちさせて、梅に熱いままの梅酢をかけて梅を消毒する。容器は熱消毒とアルコール消毒をし直す。ジップロックなら新しいものに取り替える。完全に発酵してしまったら戻せないので早めに対処。
土用干し工程のポイント
・快晴が続くところを見計らって3日3晩連続で干すのが理想ですが、雨が降られたりした場合はトータルで3日3晩になるように干せばよい。
・「3日目だけ夜露に当てる」といわれることがあるが、毎晩夜露に当ててよい。太陽と夜露に交互にあてることで梅干しが柔らかくなるので、雨の心配がない限り夜も干しておく。あまり柔らかくしたくない場合は、夜は部屋にしまっておいてもよい。
・赤紫蘇の色付き具合が薄いかったり色ムラがあるものについては、夕方に梅酢に戻して早朝にまた干し直すとよく色がつく。夜露に当てずに夜は全部梅酢にしまっておいてもいいが、手間が増えるので色が問題なければ夜露に当てておけば良い。
・梅が乾いてくるとザルにくっつきやすいです。くっつくのが嫌な場合は、クッキングペーパーを敷くとくっつかない。
・土用干しをするのが難しい場合、梅酢、赤紫蘇と一緒にジップロックに入れたままの状態で、1週間くらい日に当てておくというやり方もある。雨がふっても大丈夫なように軒下や室内の窓際などでの日が当たればよい。
・土用干し時に赤紫蘇、梅酢も天日干しておく。梅酢は殺菌のためなので1日でよいと思います。赤紫蘇はカラカラになるまで干してミルで細かくしてゆかりにしてもよい。湿ったままでも保存性は高い。
保存方法と食べ頃のポイント
・保存瓶は熱消毒しておく。熱消毒が難しい場合はアルコール消毒でキッチンペーパーで拭いておく。
・保存時にザラメを少しだけ混ぜておくと、酸味の尖りがまろやかになるが混ぜなくても良い。
・塩分13%未満は冷蔵保存。13%以上なら常温で年単位でもつ。
・塩分が低い場合はすぐに食べ始めても美味しいが、塩分13%以上なら3ヶ月後くらいから食べ始める。1年2年と熟成させると塩気がまろやかになり旨味がましていく。3年ものがもっとも美味しいといわれる。
・梅酢はザルとキッチンペーパーで濾しておくと澄んだ色になる。
・古くてカラカラにからびてしまった梅干しは、梅酢に漬け直せば柔らかくなる。
参考書籍
・季節のめぐりの中で 梅しごと、中村成子著(文化出版局)
・梅づくし、林弘子著(バジリコ)
・百年の梅仕事、乗松祥子著(筑摩書房)
・農家が教える 梅づくし(農山漁村文化協会)