新緑が気持ちのよい5月。いつもなら雲取山へは鴨沢からのピストンが定番コースですが、今回はお誘いをいただいたこともあり、奥多摩でもあまり歩く人のいない長沢背稜を歩いてきました。僕の体力やスキルからするとやや背伸びをしたコースになります。
しかも2泊3日の縦走で避難小屋初体験のおまけ付きです。
小屋に泊まれなければテント泊というのも、なんとういうかちょっとしたドキドキ感がありました^^
せっかく山に泊まるのですから夕焼けや朝日も期待したいところです。天気予報では1日目は晴れ、2日目は崩れ、3日目は回復。2日目は強い雨にならなければいいのですが。。
登山情報
【日時】2014年5月14日-5月16日
【天気】<14日>晴れのち曇り <15日>雨 <16日>晴れ
【コース】東日原-一杯水避難小屋-酉谷避難小屋-雲取山-雲取山避難小屋-七ツ石山-鷹ノ巣山-東日原
【標高】2017m
【標高差】1331m(東日原駐車場を686mとして算出)
【駐車場情報】東日原駐車場(1日500円)
日原トンネルを抜けてすぐ。道の左手にある。
注意事項。
【トイレ情報】東日原駐車場の少し先にある東日原バス停にあり。
【1日目コース】東日原駐車場-一杯水避難小屋-酉谷避難小屋
【1日目コースタイム】8:45東日原駐車場-12:27一杯水避難小屋-12:39一杯水-12:47一杯水避難小屋14:01-17:06酉谷避難小屋
【同行者】mikio skydog様(記事内ではM氏と記述)
東日原~滝入りの峰~一杯水避難小屋
日原に住んでいる方には大変失礼だが、よくもこんなところに人が住んでいるものだなぁと感心してしまうような山奥の村といった印象を受けました。駐車場までの細い車道はいたるところで工事をしていましたが、この先の日原鍾乳洞は関東随一の規模を誇り有名な観光地となっているようです。
東日原駐車場から東日原バス停方面に向かって歩いていくとバス停のすこし手前に登山道への入り口があります。
しばらく民家の横を通り過ぎながら歩いて行くとやがて山道に入っていきます。
こんな味のある道標もありました。
登り始めからいきなりの急勾配でザックの重さが背中にのしかかってきました。早くも詰め込み過ぎたパッキングを後悔です。(はやすぎw)
同行のM氏からも「今ならまだ引き返せるよ」と冗談めかして言われましたが、いやぁ本気で考えましたよ。
しかし体もあったまってくると少しマシになってきました。
最初は杉か檜の植林帯が続いてましたが、若々しい黄緑色の葉が目立ち始めてきました。ブナやナラやカエデなどの広葉樹です。
太陽の光に照らされイキイキとした木々たちが背中の重みを一瞬忘れさせてくれます。(すぐ思い出しましますがw)
途中の滝入ノ峰がどこだったのかはよくわかりませんでした。
登山道には紫色のミツバツツジも咲き始めていました。6月に見頃となるようです。
登山道の端には小さな黄色い花も。
キスミレでしょうか?
時折道標があるのですが、後何キロとか後何分とかそういう情報は一切ありません。
自分がどこまで来たのか、あとどのくらいあるのかがわからないというのは結構精神的にツライです。
やはり23キロのザックは自分には重かったようで、何度か休憩を取りながらゆっくりゆっくり歩きました。
コブがいっぱいある木。
なんか面白いなどと写真撮っていたら目の前に小屋が!!ようやく一杯水避難小屋に到着です!
中はこんな感じ。あまりひろくはありませんがきれいにしてあります。
さて、ちかくに水場があるので汲みに行きます。
蕎麦粒山方面に歩くこと数分。ちょろちょろと心細いですが、一応水が流れていました。
この水の流れをみて、一杯水の一杯はたくさんという意味ではなくて、一杯だけの水という意味なのかなと思いました。といいつつ時間をかけプラティパスに1.5Lほど水を入れておきました。
この後、一杯水避難小屋にて大休止。お昼を食べました。メスティン+ポケットストーブでパスタです。実験の成果で水の計算バッチリでした!レシピはこちら。
一杯水避難小屋~酉谷避難小屋
一杯水避難小屋からは三ツドッケ(天目山)のピークは踏まずに巻いていきます。
ザックを置いてピークだけでも踏んでおこうかという話も出ましたが、ちょっと登ってみて結構かかりそうだったので引き返しましたwまだ先は長いので体力温存ということで。
この先は尾根道が続くためアップダウンはほとんどなく平坦な道が続きます。そしてこれが長沢背稜です。
テント装備でなければ軽快に歩けたでしょうが、背中が重いためどうしても歩くペースはゆっくりになってしまいます。
それでも木々の間からのぞく奥多摩の山々に心が踊ります。
しばらく進むとハナド岩という南面の展望がある場所に出ます。
ハナド岩からはこれから先歩くことになる雲取山から鷹ノ巣山への石尾根の稜線が見渡すことができました。
パノラマ合成にしてみました。
前を歩くM氏が突然叫び声をあげました。???
コレでした。模様、目の形などからアオダイショウと思われます。
登山道を横断して、切り立った崖を滑るように降りて行きました。
蛇を見送り歩き出すと次に現れたのは今にも崩れ落ちそうな橋でした・・・
崩れた橋が少し下にありますが今の橋も近いうちにああなるのではと思えてしまいます。
恐る恐る渡りました。ザックが軽ければなんてことはないのでしょうが、背中が重とすぐにバランスを崩しそうで怖いです。
振り返ってみるとこんな感じ。この下が切り立った斜面じゃなければ別にどうということはないんでしょうけどね・・・写真ではわかりませんが落ちたら危険です。
で、また出てくるわけです。
今度のは横の木の間隔が広いです。こういうの苦手です・・・おっかなびっくりで渡りました。
もし雪でも積もってたり、雨で濡れていたりしたらもっと緊張したことでしょう。
橋に限らず長沢背稜は尾根からやや左側(南側)に巻いていることが多く、左手は切り立った崖になっています。登山道も狭くプレッシャーのある道が続きます。
これは後から気づいたことですが、どうやら自分は左側のプレッシャーに弱いようです。右側が崖の場合はそれほど気になりませんが、左側が崖になっているとものすごくおよび腰になってしまいます。
利き目、利き腕、利き足とかそういうことと関係があるのかもしれません。
そうこうしているうちにようやく酉谷非難小屋が見えてまいりました。
朝9時前に出発して現在17時近くなっているということは、行動時間8時間になります。予想以上に時間がかかってしまいましたが暗くなる前に到着して何よりでした。
酉谷避難小屋
小屋の前に水場があります。
スペースは5ー6人が寝れる程度しかありませんが、非常に綺麗に保たれており快適に過ごすことができます。
テーブル机、毛布、銀マット、ローソク、非常食などがあり、避難小屋とは思えない充実ぶりでした。
そして今夜は貸し切りです!やったー!まぁ明日が天気が悪い予報になっているので、こんな日にここまで来る物好きは他にはいなかったということでしょうねw(ちなみにこの日にすれ違った登山者の方は5人でした。)
それにしても1日の行程を歩ききった安心感、達成感でいっぱいです。
石尾根の向こうに富士山も顔をのぞかせ、労いの言葉をかけてくれているようでした。
残念ながらこの日は太陽さんは雲隠れ、夕陽はみれませんでした。
18時の外気温は15度以上あり、標高1700mにしてはかなり暖かいです。
今夜はたくさん食べてザックの中身を減らそうと思います。
夕食はメスティンで横着パエリア風ごはんとお味噌汁とベーコンでした。パエリアのレシピはこちら。
お腹いっぱい食べました。これで一日目は終了です。
ソライロノート
今日は体力的にはかなりきつかったですが、ちゃんと1日目の行程を歩ききった充実感でいっぱいでした。感覚としては一杯水までが大変でした。その後は尾根道なのですが、背中の重さ以上に左側からのプレッシャーに緊張を強いられ、軽快には歩けませんでした。
それでも新緑がまぶしい爽やかな森、雲取山周辺とは明らかに趣の違う長沢背稜の静かな山容、石尾根の向こうに見える富士山はとても新鮮でした。
たくさん食べてザックの中身を減らし、ゆっくり休んで明日に備えました。
これから天気は崩れる予報ですが、できることならば午後の遅い時間まで雨が降らないことをいのりつつ・・・