米麹を作るための道具と材料は揃いました。まだの方はこちらを参照ください。
【自分でつくる調味料】米麹作り【#1 準備・計画編】
米麹は、蒸したお米に麹菌を付け、繁殖させ育てることで出来上がります。麹菌は生き物です。麹菌を育てるのに大事なのは、適切な水分と適切な温度、そして酸素です。これらが揃って初めていい米麹になるということを念頭に置いて、いよいよ米麹作りです!
大まかな流れ
まずは、大まかな流れをもう一度復習しておきましょう。トータルで4日間の工程です。
1日目は米を洗って浸しておきます。
2日目は米を蒸して、麹の種付をします。
3日目は温度管理をしながら適宜手入れを行います。
4日目に完成です。
材料
- うるち米 1.5kg
- 米麹用種麹 3g(米1kgに対して2-3gくらい)
- 水 適量
※出来上がりの米麹は、米に対して1.1~1.2倍。今回は1.6~1.8kgくらいの予定。
作り方
※時間はあくまでも目安です。
【1日目10:00】
1.米を洗います。
【1日目10:10】
2.たっぷりの水に、お米を24時間浸します。
汲んできた湧水「日吉神社穀水」を使用。
お米がたっぷり水を吸収するので、米の容量の2倍くらいの水に浸しておきます。
【2日目10:00】
3.お米をザルにあげ、傾けた状態で1時間水を切ります。
しっかり水を切るために、30分経ったら向きを変えます。
【2日目11:00】
4. 米を蒸し布に包み、蒸し器を使って強い蒸気で40~60分蒸します。
蒸し布に包む
蒸し器にセット
蒸し中は強めの火で。
蒸しあがり。
芯がない状態くらい、指でひねって耳たぶくらいの固さのモチ状(ひねりもち)になればOKです。通常の食べる米よりは固いです。
炊飯ではなく蒸すこと
炊飯ではだめな理由は、水分が多すぎるためです。普通に炊いた米で麹を作るとビチョビチョの麹になってしまい失敗する可能性が高いです。
【2日目12:00】
5.お米を広げ、35度になるまで冷まします。
育苗箱の上に布を広げて、その上に蒸したお米を広げました。
平らに広げる
しゃもじや手でお米をほぐし、うちわであおぐと冷めるのが早くなります。
手すきのあいだに、温度管理ケースに加温器(電気毛布を使用)、保温材(毛布、寝袋など)を入れて30度くらいに温めておきます。
【2日目12:30】
6.茶こしを使い種麹を全体にふりかけ、混ぜ合わせます。
種麹をふりかける
米を手でほぐしながら、全体に行き渡るようにしっかりと混ぜ合わせ、温度が30度になるまでに終了させます。
【2日目12:50】
7.米に温度計を差した状態で布で包んで縛り、米袋(紙袋)に格納します。
温度計を差したまま布で包む
米が密集している状態のほうが麹菌が繁殖しやすいので、布に包みながらがっちり固めます。
布を縛る
布を米袋に入れ、外から温度を確認できる状態に。
【2日目13:00】
8.引き込み:米袋を電気毛布と寝袋に包み、温度管理ケースに入れます。
これを「引き込み」と言います。
寝袋に包んで温度管理ケースへ。
<<ポイント>>
加温器(電気毛布)の温度設定は、麹菌が繁殖しやすい30度くらいにします。
※電気毛布の仕様を確認し、温度設定は弱と中の間くらいにしました。
18-20時間くらいこの状態を維持します。 品温(米の温度)は最初30度前後くらいですが、時間の経過とともに少しずつ温度が上昇していきます。
品温の上限値は40度。それ以上温度が上昇すると麹菌が死んでしまいますので、加温器を強くしすぎないように注意してください。
【3日目09:00】
9.一番手入れ:品温が38~40度になったら、米を取り出して広い場所で布を広げ、米粒を手でほぐしながら混ぜ合わせます。
品温が38度になりました。
※寝袋をやめて毛布にしました。
時間の目安は、引き込み後18-20時間くらいです。
ケースの蓋や底は麹から放出された水分で濡れています。これは正常な状態です。
育苗箱に出して広げます。
固まった米を手でもみほぐします。
麹自身が熱を発するようになるので、触るととても温かくてほっこりします(‘ᴗ’)
米に白い斑点がみえはじめ、少し麹の香りがしはじめたらうまく麹菌が繁殖している証拠です。
顕微鏡で見た米粒
空気に触れさせ、バラけさせることで品温を30度くらいまで下げてから、元の状態に戻します。
手入れ後は32度になりました。
【3日目15:00】
10.二番手入れ:再度品温が上昇し35度以上(MAX40度)になったら2回目の手入れを行います。一番手入れから数時間後が目安です。
MAXの40度になりました。
品温は40度を越えさせないこと!とにかくこれが一番大事です。
お米が少し黄いばんできました。
ほぐしてバラけさせます。水分が減ってきたので、サラサラした手触りになってきました。
麹菌の繁殖が米粒表面上で4-5分くらいに広がっているといい感じに進んでいる証拠です。
顕微鏡で見た米粒
手入れ後はケースに戻します。
【3日目21:00】
11.三番手入れ:再度品温が上昇し35度以上(MAX40度)になったら3回目の手入れを行い、加温をやめます。
蓋に付いた水滴。
ほぐします。
顕微鏡でみた米粒
ここで電気毛布の使用をやめました。
【3日目21:30以降】
12.その後も48時間後くらいまで、必要に応じて手入れをしながら温度管理を行い、MAX40度以下を保ちます。
布に包んだ状態は温度が上がりやすいので注意!
途中からケースに戻さず、育苗箱に広げたまま毛布をかけた状態にしました。
【4日目13:00】
13.出麹:米麹の完成。種付けから48時間くらいが目安です。
出麹(=麹の完成)の品温は33度でした。
完成した米麹です!
顕微鏡でみると産毛のような麹菌がすごいことになってます!
麹菌がまんべんなく繁殖し、栗のような香りになっていればOK。
色は白から黄色(黄緑がかる場合もある)くらい。繁殖が不十分なら、引き続き温度管理をしながら数時間待ちます。
【4日目13:00】
14.もみほぐして放熱し冷蔵庫で冷やします。
米袋に直接入れちゃいます。ジップロックに入れるより吸湿性のある紙袋が良いです。
このまま冷蔵庫へ
ちなみに完成した麹の重量は1.72kg(米の1.14倍)でした。
保存方法と保存期間
できた米麹はすぐに味噌仕込みに使用できます。
すぐに使用しない場合は、以下の方法で保存しましょう。
・塩切りして冷暗所保存:3ヶ月
・そのまま冷蔵保存:2週間くらい
・そのまま冷凍保存:1~2ヶ月くらい
塩切りとは麹を塩と混ぜ合わせることです。味噌や塩麹を作る場合は、必要な塩の分量と混ぜ合わせて塩切りしてしまった方がもちがよいです。まだ何に使うか決まっていない場合は冷蔵または冷凍をしておきましょう。
1年くらい確実に長期間保存したい場合は、乾燥麹にしてから冷凍するとよいです。
ソライロノート
麹づくりの楽しさは、なんと言っても「育てる楽しさ」だと思います!
時間をかけて麹が少しずつ育っていき、お米がだんだんと白くなっていく様は、料理といよりも植物や生き物を育てる感覚に似ています。時間の経過とともに変化していく様子を見守り観察するのが、とても面白く楽しみながら麹づくりができました。
失敗しないために一番守るべき点は麹の温度を30度~40度に管理することです。温度が上がりすぎたら麹が死んでしまい、下がりすぎても麹が育ちません。
特に気をつけるべきは、温度が急上昇しやすい麹づくりの後半(3日目~)だと思います。私もちょっと目を離している間に品温が46度まであがってしまったということが実際にありました。油断大敵です。手入れのタイミングは、回数に関係なく、温度がMAX値になったら必ず手入れをして温度を下げるようにします。
自分でイチから作った手作りの生の麹。味噌づくりはもちろん、塩麹、甘酒、麹漬けなどいろいろ活用できます。作ったあとからの楽しみも大きいのが麹づくりではないでしょうか(‘ᴗ’)
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