※ソライロ遍路53日間の全貌、ツイートしきれなかった部分も余すところなく織り込んでます。
3月23日、お遍路2日目。
夜、蚊に刺されて何回か目が覚めた。蚊に刺されるということはそれだけ暖かい夜だったということ。やや睡眠不足だったが、畳が1枚あるだけでとても寝心地はよかった。
朝5時頃に目が覚め、30分ほどお遍路1日目のブログを書く。まだこの時点ではお遍路中にリアルタイムでブログを更新していくつもりだった、、。
1日目はこちら。
1 ソライロ遍路スタート!
2 お遍路の洗礼と逆打ち先輩との出会い
朝飯
朝飯は干ししいたけの味噌汁を作り、昨日の残りの麦飯にドライウインナーを加える。
麦飯が結構固くなってたので味噌汁を合わせてねこまんまに。うん、うまい。
それから自分は今日で終わりだからと、逆打ち先輩からSOYJOYをいただいた。行動食をあまりもっていないのでありがたい。
靴と歩き方
7時、トイレにいきたいのでとりあえず近くのコンビニまで逆打ち先輩とご一緒する。
歩いていてあることに気づいて「えっ!?」となった。
なんと逆打ち先輩はサンダルで歩いていたのだ!!あんまりびっくりしたので思わず写真を撮らせてもらった。これはランニング用のサンダルだそうで。
登山靴も別に持っていて山は登山靴、平地ではこのサンダルと履き分けてずっと歩いてきたそうだ。重たいザックを背負ってサンダルで歩いていたらかえって足を痛めそうな気がするのだが、これで全く問題なかったと言われるので非常に驚いた。
もうひとつ気づいたのは、歩き方である。40日以上四国を歩いてきた逆打ち先輩の歩き方は、お遍路2日目の僕とは全く違う歩き方をしていた。ピッチ走法とストライド走法という走り方があるが、それで言うならピッチ走法。特徴的なのはかかとから足をついているように見えることだ。もしかして足が痛くてそういう歩き方をしているのかと思い聞いてみたらが、足は痛くないとのこと。
ぱっとみ、変な歩き方だなぁというのが正直な気持ちだったが、僕はまだ1日しか歩いていない。遍路道1,200キロを歩いてきた方の歩き方は大いに参考になるはずだ。サンダルも歩き方もすぐには真似できないがよく覚えておこうと思った。
コンビニでトイレを借りゴミを捨てさせていただき、逆打ち先輩とはここでお別れ。
お遍路2日目の札所巡りを始めよう。
六番札所安楽寺へ
コンビニから六番札所まで3キロくらい。朝のうちはまだ疲れもなく軽快に歩く。
大山寺への分岐。
大山寺は別格二十霊場の第一番。実は出発前は余裕があれば別格もまわろうなんて思ってたので、ここの分岐は意識していた。ま、とても余裕なんてなかったので華麗にスルー。
途中にあった小柿休憩所。座布団がおいてありよさげ。中に一張くらいテントも張れそうだ。
8時53分、安楽寺に到着。
山門のところで自撮り。
厄除けさか松。
猟師が弘法大師に間違って弓矢を放ち、身代わりになって折れた枝を弘法大師が逆さに植え「もしこの松が芽を出し栄えることがあれば、後にこの地を踏む者は厄除けの法によって災厄を逃れるであろう」と言われたのが「厄除けのさか松」。
安楽寺本堂。
安楽寺大師堂。
境内には桜が咲き始めている。
安楽寺御朱印。
お寺の人にお水をいただいていいか尋ねると、水道水が出るところを教えてくれる(トイレや手水舎などは雨水を使っていたりするので注意)。お寺で水が確保できれば、水にお金をかけなくても済みそうだ。
次の札所まで1.2キロ。
七番札所十楽寺へ
9:50、七番札所十楽寺に到着。
山門で自撮り。
十楽寺本堂。
十楽寺大師堂。
仏像が泣いている!?
戦没慰霊碑。
十楽寺の御朱印。真ん中はご本尊の阿弥陀如来とか書かれはずだが、んー素人にはとても解読できない文字!、、
次の札所まで4.2キロ。
八番札所熊谷寺へ
道端の白い花の木。コブシ?モクレン?
今日も青空が広がり、気温もだいぶ上がってきた。朝はちょうどよかったウェアリングだが、今は額から汗が滴り落ちてくる。休憩できるようなところがあったら、白衣の下のフリースを脱ごう。
ところがタイミング悪く休憩所がなかなかない。我慢しきれず車が通らなそうな小道への曲がり角でザックを下ろす。
ついでにドライウインナーとSOYJOYを食べてエネルギー補給。
普段はこんなことしないけど、こういう道の脇に座り込んでしまえるのは旅のなせるわざ^^;道の脇に座り込んでるような怪しい人間に、地元の方が普通に「今日は暑いねー」と話しかけてくださる。気恥ずかしいけどありがたい。
行動食を食べて元気が出たので歩きだす。
もうすぐ熊谷寺かなぁというお寺の手前あたりにものすごーく立派な仁王門が出現。ハクモクレンが散り始めている。
熊谷寺自撮り。
本堂。
大師堂への階段。
御朱印。千手は読める。
次の札所まで2.4キロ。
九番札所法輪寺へ
もう12時半をまわっていたのでお昼にしようか、、、地図を見るとちょうど法輪寺の隣に公園がある。でもスポーツ公園かぁ、、こういうところは広すぎていい場所を探すのに時間がかかりそうな気がして、めんどうくささが先に立つ。さっき行動食食べたし、もう少ししてから食べようと歩き出す。
歩いていると段々空腹感が増してくる。都合の悪いことに自炊をできそうな場所がない。昼間に自炊できる場所というのは結構限られているので、やはりできそうな場所があったときにやっておいた方がよかったなぁと後悔。
そんなこんなでノロノロと1時間くらいかけ、法輪寺に着いたは13:35。
法輪寺仁王門。
自撮り。
本堂。団体お遍路さんが2グループいて大混雑。1つは台湾人の団体さんのようだった。
水子地蔵。
大師像。
御朱印。これは釈迦如来と読める。
法輪寺門前にはお茶屋さんがあり「たらいうどん」という看板があったが、うどんより惹かれたのがこのよもぎ餅。
値段も2個で150円とお手頃。少し迷い1個だけで売ってくれないか聞いてみようと思ったのが、財布をザックの中にしまっていることを思い出した。ザックをおろして財布を取り出すめんどくささと食欲を天秤にかけ、このときはめんどくささが勝った。後ろ髪を引かれつつも、法輪寺を後にする。
次の札所まで3.8キロ。時刻は14時をまわっていた。
十番札所切幡寺へ
自炊できそうなところもないし、やっぱりさっきのよもぎ餅を食べておけばよかったなぁ、、、
ドライウインナーで空腹を満たし、休み休み歩く。
マムシ注意とある。まだ今の時期は大丈夫じゃないかなぁと思うが、これからの季節マムシも活動し始めるだろう。
遍路道は少し山っぽいところに入るが、野宿しやすそうな場所はなかなかない。一応切幡寺の先にヘンロ小屋があるはずなので路頭に迷うようなことはないが、ヘンロ小屋はテントを張れないかもしれないので野宿ポイントを探しつつ歩く。
背中の荷物も重いし、少し疲れも出てきた。お昼を抜いたのも良くなかった。一度休憩すると立ち上がるのが億劫になる。それでも前に進まなければならないのがお遍路の定め。
重い足取りながらもようやく切幡寺の登り口までたどり着いた。お寺までの細い道の両側にはお店が並んで門前町のようになっている。切幡寺というのはかなり大きなお寺なのだろう。これまで平坦な道が多かったが、ここはちょっとした山寺。かなり登り坂になっていてきつい。20キロオーバーのザックを担いでこの坂を登るのはキツイなぁ、、、ぜいぜい言いながら歩いているところに
「お遍路さん!」と声をかけられ「ん?」と思い振り向くと
「お参りに行く間、お荷物預かりますよ。」
ええええっ!?
「ホントですか!?」
思わず声がうわずる。なんか買わされるのかなぁと、若干警戒心も湧く。
「お接待ですから。どうぞ」
と優しい言葉をいただく。
何の店だろうと看板を見てみると「須見光栄堂」とある。仏具屋、お遍路用品屋さんのようだ。
こちらが少し訝しがっているのを感じたのか、「ここを通られるお遍路さん皆さんに声をかけさせていただいますから、大丈夫ですよ」とまで言っていただき、安心して荷物を預けさせていただく。
これが噂に聞く四国のお接待というものなのか、、、。初めてお接待を受けた。お店というのは商いをするためにあるわけであって、お店で何も買わないのに何かをしていただくなんて、普通なら考えられない。どことは言わないが世の中には「買わないなら入ってくるな」と言われるお店だってあるのに、、、。お客でもない人の荷物を預かっていただけるなんて、四国ってほんとにすごいなぁ、、、。何よりも、荷物が重いなぁ、これ担いで登りたくないぁと思っていたところだったので、ほんとにほんとにありがたい。
おかげでサブバックのみで切幡寺へ。身軽になり足取りも軽い。いやぁ楽ちん楽ちん。
切幡寺仁王門。
更に階段が続く。是より三三三段とある。
ザックを背負っていたら相当きつい。逆打ち先輩にも「ザック放置はかなり危ない」と言われたが、最悪、階段の下で荷物を置いていったかもしれない。預かっていただいてほんとに助かった。
是より二三四段。
女やくよけ坂。
男やくよけ坂もあり、ようやく階段を登り切る。
手水舎で手と口を清める。やり方も少し慣れてきた。
切幡寺本堂。
大師堂。
お参りが終わり納経していただく。これは千手観音と読める。
よし、十番札所クリア!納経所の側のベンチで地図を見て確認する。次の札所まで9.3キロ。すでに16時を回っているので今日はここで打ち止めだな。まずはザックを回収しに戻ろう。
身軽なので下りの階段も楽ちん。一気に三三三段を下る。仁王門近くまで来て、ヘンロ小屋までどのくらいだったかなぁと、もう一度地図で確認してみる。、、、あれ?地図がない!!!
えっ、、、なんでだ、、、さっきベンチで地図をみて、、、もしかしてベンチに置きっぱなしか、、、。急いで戻らないとなくなってるかも!
せっかく下りてきたのに再び三三三段、、まさか三三三段を二往復することになるとは、、、^^;身軽でよかったけど、身軽だったからこそなんか浮かれて地図を忘れてきたのかなぁ、、、1日目は金剛杖、今日は地図と続いてる。忘れ物グセなんとかしないと、、。
このお遍路地図には複数の遍路道、札所ごとの距離、ヘンロ小屋の場所、宿の情報、コンビニやスーパーの場所など、お遍路に必要な情報が詰まっている。これがなかったらお遍路の難易度が数倍にあがってしまう。
急いでベンチまで戻ると、よかった-、ちゃんとあった!地図回収完了。
寝床探し
荷物を預けたお店に戻ってきたときには17時になっていた。早いとこ寝床を探そう。
お店に入ると、お客は1人もいない。お店の方もいないので奥の方に声をかけると、ご主人らしき方が出てきた。お礼を言って荷物を背負おうとしたら「お茶でも飲んで、少し休んで行っていってください。」と言っていただく。
せっかくなのでお茶をいただいていく。今日この後どうするのか聞かれ、野宿場所を探していて、この先のヘンロ小屋を当てにしていると話す。あそこは泊まれないことはないでょうと言われ一安心。ご主人は忙しそうで「ゆっくりしていってください」と言い残し、すぐに奥に下がる。
すぐに奥さんらしき方が現れる。また今日の寝床の話になる。この先に温泉にも入れる「鴨の湯」といういい善根宿がある。今日はそこまで行くのは難しいかもしれないが、明日の宿としてもいいかもしれないと場所を教えていただく。まだ明日のことまで考えていなかったのでこういう情報はとても助かる。
ただの通りすがりのお遍路にどうしてこんな風にしてくれるんだろう?四国の人は本当に優しい。こんなことは四国じゃなきゃありえないだろう。本当にありがたい。
お礼を言って荷物を背負い、お店を後にする。
途中、ベンチのマネキンにまた驚く。一瞬ほんものと見間違えてしまう。
17:30、目当てのヘンロ小屋に到着。
2階建てのヘンロ小屋。水はないが、外に簡易トイレがある。
一階も二階もギリギリテントが張れそうなスペースがある。
うん、これならOKだ。今日の寝床はここに決まり!二階でザックをあけて荷物の整理をしていると、階下で人の気配がする。のぞいてみると野宿装備を背負ったお遍路さんが1人、挨拶をする。
自分は2階、その方は1階にテントを張ることに。ギリギリスペースだったがなんとか張れた。
風が結構吹いて、小屋にいても風がもろに当たるのでフライシートもかぶせる。毛布もあったので利用させてもらう。これなら寒くて寝れないことはないだろう。
夕飯
なんだかんだしていて遅くなってしまった。
買い出しに行けるような店は近くになさそうなので、あるものですまそう。
干し肉をつまみながら、飯を作る。干し肉は食べだすととまらなくなる。450g持ってきたがすぐに終わってしまいそうだ。
干しキャベツと干し肉を入れて麦飯を炊く。
戻した干し大根と納豆を合わせて麦飯納豆と干しほうれん草の味噌汁の完成!
ありあわせの食材でこれだけうまければ言うことなし!の夕飯だった。
出納帳
・お賽銭(安楽寺):20円
・納経代(安楽寺) 300円
・お賽銭(十楽寺):20円
・納経代(十楽寺) 300円
・お賽銭(法輪寺):20円
・納経代(法輪寺) 300円
・お賽銭(熊谷寺):20円
・納経代(熊谷寺) 300円
・お賽銭(切幡寺):20円
・納経代(切幡寺) 300円
【今日の集計/全期間の集計】
宿泊費:0円/0円
風呂:0円/0円
洗濯:0円/0円
食費:0円/523円
日用品:0円/0円
お参り:1,600円/11,820円
合計:1,600円/12,343円
ルート
Googleマップ(別窓)
・ルート:ヘンロ小屋第44号神宅-セブンイレブン-六番札所安楽寺-七番札所十楽寺-八番札所熊谷寺-九番札所法輪寺-十番札所切幡寺-ヘンロ小屋45号空海庵・切幡(泊)
・合計時間: 10時間1分
・合計距離: 22.75km
・最高点の標高: 195m
・最低点の標高: 17m
・累積標高(上り): 380m
・累積標高(下り): 361m
2日目GPS(ヤマレコ)
ソライロノート
ソライロ遍路2日目が無事終了。
今日は法輪寺から切幡寺に行く間、かなりバテバテになってしまった。昼飯を抜いたことが大きい。やはり飯はちゃんと食べないと歩けなくなる。熊谷寺の横の公園で自炊ができただろう、できる場所があったらすかさずやらないとあかんということだ。
もう一つはザックが重さ。このザックをかついで切幡寺を登っていたら、相当キツかっただろう。荷物を預かっていただいたのは本当にありがたかった。お接待初体験でもある。わざわざ向こうから声をかけていただいたのだ。四国以外の場所ではこういうことはなかなかないだろう。お接待文化の一端に触れ、驚きと感謝の思いでいっぱいだったし、自分のようなにわかお遍路が四国の方にちゃんとお遍路さんとして受け入れてもらっている気がして嬉しかった。
すぐ先には、お遍路中最大の難所と言われる焼山寺が控えている。ここは遍路ころがしとも言われ、お遍路さんの心を折るキツい登り道が続く山寺だ。まだお遍路にも慣れていない、体力もペースもできていない状態で早くも最大の難所を迎えてしまう。
はたしてこの20キロオーバーのザックを背負って焼山寺を乗りきれるのだろうか、、、?大きな不安がよぎる。地図で確認してみると遍路道から少し外れるが近くに郵便局もある。逆打ち先輩にも言われたが、思い切って荷物を減らそうか。焼山寺に登る前に須見光栄堂で教えていただいた鴨の湯温泉でしっかり休養するのもいいかもしれない。鴨の湯はちょうど郵便局を通る道の先にある。宿に泊まるにはちょっと早いかもしれないが、遍路ころがし対策のためにしっかりと準備をしたい。最大の難所に対しては万全を期して望むべきだろう。
そんな計画を立てつつ、21時には眠りについた。
ちなみにリアルタイムブログはすでにあきらめモードに突入。その分ツイートをたくさんしていこう。
3日目に続く。
【ソライロ遍路準備編】
【ソライロ遍路移動編】
0日目 沼津から四国に向けて、いざお遍路の地へ!
54日目 家に帰るまでがお遍路
【ソライロ遍路各県初日】
高知編:11日目-1 朝から雨、徳島から高知へ入る
愛媛編:30日目-1 松尾峠を越え、第三の地伊予の国へ
香川編:46日目-2 やまじ風吹き荒れるなか六十六番札所雲辺寺、初めての通夜堂泊
【ソライロ遍路徳島編】
1日目-1 ソライロ遍路スタート!
1日目-2 お遍路の洗礼と逆打ち先輩との出会い
2日目 初めてのお接待体験
3日目 最大の難所焼山寺に向け万全の準備
4日目-1 遍路ころがし焼山寺に挑む
4日目-2 遍路ころがしを越えた先
5日目-1 人それぞれの遍路道
5日目-2 十三番札所大日寺~十七番札所井戸寺
5日目-3 地蔵越遍路道を越え初めての河原野宿
6日目-1 十八番札所恩山寺~十九番札所立江寺
6日目-2 心身ともに疲労困憊
7日目-1 遍路ころがし鶴林寺越え
7日目-2 小学校に泊まろう!
8日目-1 遍路ころがし太龍寺越え
8日目-2 二十二番札所平等寺から弥谷観音前休憩所へ
9日目-1 海沿いを歩き二十三番札所薬王寺を目指す
9日目-2 薬王寺と温泉とひとり野宿
10日目-1 室戸岬への長い道のりの始まり
10日目-2 牟岐町から海洋町へ、徳島最後の夜