※ソライロ遍路53日間の全貌、ツイートしきれなかった部分も余すところなく織り込んでます。
5月13日、お遍路53日目その2。
お遍路53日目は女体山で目を覚まし、朝早く出発。最後の札所となる八十八番大窪寺を打ち終えた。
その1はこちら。
53日目-1 ラストナンバーにて結願、そして奉納
余韻
大窪寺の門の外で八十八ヶ所を終えた余韻に浸っていたところ、今日から何回目かのお遍路を歩かれるというベテランお遍路さんに声を掛けられた。八十八番札所からということは逆打ちなのだろうと思ったら、これから一番札所を目指して歩き順打ちをするのだとか。なぜ八十八番から出発されるのか聞いてみると、ウォーミングアップのためだとか。一番札所まで歩く間にお遍路への気持ちを高めていくそうだ。
十人十色、お遍路さんの数だけ違う歩き方があっておもしろい。
四国一周をつなぐ道のり
さてソライロ遍路は結願を持って終わりだが、この旅でもう1つやらなければならないことが残っていた。
それは四国一周をつなぐこと。
お遍路を1番札所から八十八番札所まで歩いたことで、四国一周はほぼつながったと言えないこともないが、厳密に言えばつながっていない。なのでしっかりとつないでおこうというわけだ。
八十八番札所大窪寺から一番札所霊山寺まで歩くのもいいのだが、ここからは十番札所切幡寺が最も近く、約18.2キロの道のりだ。
お遍路3日目の鴨の湯で会ったイギリス人留学生のお遍路さんも、大窪寺からは切幡寺に戻るといいと言っていた。
そんなわけで
八十八番札所の先へ!
思いのほか何もない車道がえんえんと続く。
道のはじで動くものが!?キョロキョロしてみると、側溝に入っていくヘビ発見!
長野佛川庵四ツ足堂という地蔵堂があった。
小さな川。このあたりは、まだ自然があった。
このあたりで香川県から徳島県阿波市に入ったようだ。
ここからは延々と車道が続く。お遍路さんは1人も見当たらない。まるでアリゾナ州の砂漠地帯でも歩いているような気分になってくる。それくらい何もなかった。
「よし、歩くぞ!」という気持ちがなかなか湧き上がってこない・・・。
昨日たくさん歩いた後遺症で、足の裏が痛く体も重い。それから、八十八番札所を打ち終えたおかげで、気持ちの張りが少し緩んでしまっているのもあるだろう。
そしてなによりも金剛杖がない状態で歩くのがこれほど大変だったことに驚く。今までどれほど杖に体重をかけていたかを思い知らされた。
もう、体が動く範囲でのんびり歩くしかないと腹をくくる。何度も休憩しつつ車道をゆっくりゆっくり歩く。
高速の高架が見えてきた。徳島自動車道のようだ。確か切幡寺の近くにも徳島自動車道が横切っていたはず、ようやく近くまでやってきたようだ。
もう12時を過ぎていてお腹がすっからかんだったので、どこかでお昼を食べたいなぁとも思っていたが適当な場所が見当たらない。
このあたりはお遍路2日目あたりに近くの道を歩いているかもしれない。あくまで近くを歩いたかもなので、実際にはまだ歩いたことのない道だった。それなのに見覚えのあるような既視感を覚えてしまう。
山の中に切幡寺の建物らしきものが見えた。
いよいよホントに見覚えのある場所が近いはずだ。なんか美味しいものでも食べたいなぁと思いながら歩いていると、切幡寺の登り口が見えてきた!
おー!ここだここだ。間違いない。
ここを歩いたのは3月22日。今日は5月13日だから、つい52日前にここを歩いたのだが、それが1年以上前のことのように思えてしまう。
本当に懐かしい。あのときはお遍路2日目で、まだ右も左もわからない状態で、本当に行き当たりばったりだった。
少し登り口を入ってみると、荷物を預かっていただいた須見光栄堂さんが見えた。あのときは本当にありがたがった。あらためて感謝(人)。
GeographicaでGPSログがちゃんとつながっていることを確認。2日目のGPSログが赤、53日目のログが紫。
よし、これで四国一周がつながった。
宿探し
切幡寺登り口のところでザックを下ろし、今日の寝場所をどうするか検討する。
明日沼津に帰るのことを考えると、できるだけ駅の近くがいいだろう。ここから一番近い場所は2日目の寝床だった遍路小屋空海庵・切幡、その先には3日目に泊まった善根宿鴨の湯もある。だが、お遍路が終わったのに善根宿に泊まるのはどうだろうか、これから焼山寺に挑もうというお遍路さんたちが休んでいるところのスペースを圧迫してしまうのも申し訳ない。それはやめておこう。
いろいろメンテナンスもしたいので、今日はビジホにでも泊まろうか。
鴨島駅の近くで探してみるが、安い値段のところが見つからず、駅から少し離れているが、アクセス阿波というビジネスホテルがとれた。鴨島駅まで4キロ程度で1泊5650円、宿の予算額4000円を遥かに越えるが最後くらいはいいだろう。
宿を確保したら、お腹が空いていたことを思い出す。チェックイン15時なので、どこかでお昼でも食べて行こう。
昼飯
十番札所切幡寺の登り口から、十一番札所藤井寺方面に遍路道を進む。
順打ちのお遍路さんが藤井寺を目指して歩いているのを2人くらいみかける。
これから挑む遍路ころがしに不安とワクワク感が入り混じった気持ちで歩いた自分を重ね「がんばれ!」と応援したくなる。おせっかいでいろいろアドバイスしたくなる気持ちも湧いてくるが、自分で気づいて学んでいくのが楽しいだろう(少なくとも自分はそうだ)。
心の中でエールを送って、アクセス阿波方面に曲がった。
讃岐を去ってもまだうどんが食べたい気持ちはおさまっていなかった。うどんが食べられる店はないかなぁと思っていたところで、いいお店を発見。「手打ちうどん、すし やまじゅう」とある。ここにしよう!
日替わりランチ700円、これまでの53日のお遍路ではかなり贅沢なランチだ^^
うどんも美味しいし、なにより揚げたての天麩羅が最高!
食後のコーヒーもついてて大満足だった。
アクセス阿波で休養
やまじゅうからアクセス阿波までは約2キロ。のんびり歩いていたら、ちょうどチェックイン時間に到着した。
お風呂に入り、手の甲だけがすごく焼けていて手首から先が白いことに気づく。これも四国の日差しを53日間浴びてきた証だなぁと思った。(足の裏はもっとすごいことになっていたがこれは自主規制・・)
暇なのでザックの中身を整理してみる。最終的なザックの中身は水食料込で推定16-17キロ前後だった。これ以外にお参りグッズ、遍路地図、行動食を入れたさんや袋がある。
テントはトレックライズ1、専用グランドシート、寝袋はモンベル #3、Zライト、オールウェザーブランケット(テント内)
バッテリー関連。Anker PowerPort Solar、Anker PowerCore 20100*2、USB急速充電器RAVPower、USBケーブル
調理器具。セラミック加工メスティン、マグカップ、シェラカップ、SOTO レギュレーターストーブ、OPINEL#8、MSR風防他。
調味料。オリーブオイル、醤油、だしの素、いりゴマ、ケチャップ、かつお節、塩、砂糖、鷹の爪、粉末生姜、カレー粉、黒胡椒(切)、鶏ガラ(切)、右上の青いのは干し網
最後まで残らなかったこれ以外のもの(食料は別)は、なくてもなんとかなるものだったと言っていいのかもしれない。
なおパッキングの改善点、再検討項目などについてはパッキング編の記事に記載している。
最後に
最後に。
四国は本当に広かった。自然は美しくときに厳しくもあり、人はとても温かった。
自分の足だけで四国の地を歩くことで、お遍路の文化を肌で感じ、多くの驚きと感動がありました。たくさんの方々の助け、励まし、笑顔がなければ最後まで歩き通すことはできませんでした。お会いしたすべての方々に感謝致します。ありがとうございましたm(_ _)m
リアル、ネットにかからず、私のお遍路を応援していただいた方、アドバイスをしていただいた方、本当に有難うございました。皆様の「がんばれ」の一言が励みになりました。
またブログでお遍路の記録53日分書き切ることが、自分にとってもう一つのお遍路でした。2016年5月に結願後1年半以上もかかり、ようやく53日目を書き終えました。
拙い文章を最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございましたm(_ _)mこの記録を読まれて少しでも楽しんでいただけたのなら大変うれしいです。
※このあとも何回かお遍路テーマ記事(お遍路出納帳の総集計とか、遍路飯のまとめとか)は書く予定です。
出納帳
・お賽銭(大窪寺) 20円
・納経代(大窪寺) 300円
・日替わりランチ(やまじゅう) 700円
・アクセス阿波 5,650円
【集計】
宿泊費:5,650円
風呂:0円
洗濯:0円
食費:1,719円
日用品:0円
お参り:960円
合計:8,329円
ルート
Googleマップ(別窓)
ルート:539女体山山頂-627八十八番札所大窪寺725-1309四国一周合流地点(十番札所切幡寺登り口)-1405やまじゅう(昼飯)-1530アクセス阿波(泊)
・合計時間:7時間35分
・合計距離:21.59km
・最高点の標高:727m
・最低点の標高:55m
・累積標高(上り):210m
・累積標高(下り):869m
53日目GPS(ヤマレコ)
ソライロノート
そういうわけで、僕のお遍路はこうして幕を閉じた。文字通りの「閉幕」である。しばらくは、あらたなお遍路の旅に出る予定もつもりもないのだが、いろいろと心残りはある。高野山詣もお礼参りもできていないし、石鎚山にも登りたかったし。感謝を伝えたい方、もう一度お合いしたい方もたくさんいる。寄りたかったが寄れなかった場所、知らずに通り過ぎてしまった場所、泊まりたかった場所、歩きたかったルートもたくさんある。
そんな心残りがたくさんできてしまった。
これは決して強がりで言っているのではないのだが、僕はあえて心残りを作っておいた、と言いたい。完全にやりきってしまったらそれでお終いであり、次はない。でも心残りがあるうちは次があると思える。
「心残り」とは心を残すこと。
そう、四国に心を残してきたのだ。またこの地に戻って来るために。
【ソライロ遍路準備編】
【ソライロ遍路移動編】
0日目 沼津から四国に向けて、いざお遍路の地へ!
54日目 家に帰るまでがお遍路
【ソライロ遍路各県初日】
徳島編:1日目-1 ソライロ遍路スタート!
高知編:11日目-1 朝から雨、徳島から高知へ入る
愛媛編:30日目-1 松尾峠を越え、第三の地伊予の国へ
【ソライロ遍路香川編】
46日目-2 やまじ風吹き荒れるなか六十六番札所雲辺寺、初めての通夜堂泊
47日目-1 雲辺寺を下山し六十七番札所大興寺、観音寺市を歩く
47日目-2 六十八番札所~七十番札所、銭形砂絵を眺めため池のほとりで野宿
48日目-1 へんろ小屋で手打ちうどんのお接待、七十一番札所~七十二番札所
48日目-2 天気がいいので幼き空海が修行したという我拝師山に登る
48日目-3 弘法大師生誕の善通寺を打ち善根宿へ
49日目 雨のお参りは傘が役に立つ、七十六番札所~七十八番札所を打ち善根宿へ
50日目-1 カタツムリのお遍路、いそがずあせらず50日目
50日目-2 最後の遍路ころがしを越え、最高の遍路小屋にたどり着く
51日目-1 お遍路最大のピンチ!集団に襲われる!?
51日目-2 八十三番札所~八十四番札所、狸の聖地屋島に泊まる
52日目-1 八栗寺参道沿いのよもぎ餅屋のおばちゃんにハッパをかけられる
52日目-2 うどん納めをして八十七番札所長尾寺まで
52日目-3 おへんろ交流サロンを経由し最後の難関女体山へ
53日目-1 ラストナンバーにて結願、そして奉納
53日目-2 八十八番札所の先、四国一周をつなぎ閉幕