※ソライロ遍路53日間の全貌、ツイートしきれなかった部分も余すところなく織り込んでます。
4月15日、お遍路25日目その3。
お遍路3日目は道の駅おおがたを出発、四万十大橋を渡り下ノ加江海岸までたどり着き砂浜で野宿をすることにした。
その1、その2はこちら。
1 四万十ブルーに見惚れ、10年後に思いを馳せる
2 下ノ加江海岸で初めての砂浜野宿
その夜
夜になると、海風が強くなり、フライが風を受けバタバタとうるさかった。砂浜でペグ埋めもしていなかったので荷物と体重だけで支えていることになるが、稜線にテントを張っているわけではないので吹き飛ばされるような恐怖はなかった。
それよりも、安全マージンはとっていたとは言え潮がどこまでくるのか確信がなかったので、テントごと波に持ってかれたらシャレにならないよなぁ、、、とそっちのほうが気になった。そんな不安に思いをいだきつつ眠りについた。
まだうとうとしはじめたばかりの頃だったと思う。
外から声が聞こえた。
「・・・寝てる・・・・・・向こう・・・移動・・・」
向こうの世界から急に呼び出されたような感じだったので、全部は聞き取れなかったし、頭は働いておらず聞き取れた言葉の意味もよくわからなかった。
というか、今のは誰だろう?
地元の人が夜中に海に来ていて、遊んでいるのだろうか?ありえなくはないだろう、、、「移動」がどうとか言ってたよな、、、。警備員か何かが「向こうに移動しろ」って言いに来たのかな?いや、こんな時間に警備員がくるだろうか?そもそも砂浜に警備員なんていないだろう、、、。
そう言えば、近くで寝ているはずのお遍路さんの声に似ていたかもしれない。とすると、テントを移動するということだろうか、、、。
テントから顔を出して外を覗いてみるが、真っ暗でよくわからない。とりあえず波は全然向こうの方にある。お遍路さんのテントはよくみえなかった。
でも一体なんで?なんでこんな時間にわざわざ移動するんだろう??
風が強いから移動するってことだろうか?そこまで強い風とは思えないし、、、。今のがお遍路さんだったとしても、移動する理由がわからない。
気にしだすとなんだか根拠のない不安が湧いてきた。もしかしてこの場所にいるのはよくないんじゃないだろうか?この場所にいると何か悪いことが起きるんじゃないだろうか?そんな思いが湧き上がってくる。移動しようか?
もしかして何かここにいない方がいい理由があるのだろうか?移動したほうがいいのだろうか???どうしよう、、、なんだかとてもいやーな感じがしていた。何かよくないことが起きるかもしれないという根拠のない不安にかられる。
そんな不安を抱えたまま、またうとうとと寝むりについた。
夢の中で、大きなサイレンの音が鳴り響く。大きな音どころではない、尋常ではないけたたましい警報音だった、、、なにかとてつもないまずいことが起きたようだ。
これは夢???
その大きな音はスピーカーの大音量でこの地域一体に流されているサイレンだったが、何が起きているのかはまったく理解できないまま、思わず飛び起きる。
パニック状態だったが、非常に嫌なこと、まずいことが起きているのだろうということだけは認識できた。ただ何をしたらいいのかわからず、わけのわからない状態のまま、テントの外に出てみる。フライのファスナーがうまく開かないが、とにかく外に出ようと強引に体を出す。
転がるようにして外に出てみると、全世界に轟いているような音がスピーカーから聞こえる。
「大きな地震が発生しました。ただちに避難してください」
と言っているようだった。
え?地震、地震が起きたのか?
あ、もしかして揺れてたのか?テントから転がるように外に出たのはパニクっていたからというだけでなく、物理的に揺れていたせいかもしれない。
ただ、揺れているのかどうかもわからないくらい、わけのわからない状態になっていた。
海岸にいたら津波がくるかもしれない、、、という恐怖があったが、避難と言われてもどこに避難すればいいんだろう。耳をすましてみても、地元の人々が外に出てきて避難しているような気配は感じられない。
音にびっくりして叩き起こされたが、そんなに揺れたのだろうか?という思いもあるが、客観的な判断など全く出来なかった。
もしこの場所が震源地から近かったら津波がくるかもしれない。だとしたら今すぐこの場所から移動すべきだろう、、、
まずはスマホで情報を集めてみよう。
スマホには「Y!防災速報」というAndroidアプリを入れていたが、夜はバッテリー節約のために電源を切っていたので緊急地震速報はならなかった。電源を入れてネットで地震の情報を集める。震源地が熊本の方だということはわかったが、まだ津波の危険があるのかどうかわからなかった。
少し落ち着いてくると、この状況で砂浜にいるのはアホらしいと思い、スマホだけ持ってトイレのある場所に行ってみる。
トイレの横にはお遍路さんのテントが張られていた。やはり砂浜から移動していたようだ。声をかけようかと思ったが、起きている様子がうかがえなかったのでやめておいた。トイレの中で、地震の情報をみていたら、この地震による津波の心配はないという情報が出されていた。
ふぅ、これでひとまず安心していいだろう。
テントに戻る。津波の心配がないとは言え、また地震が来ないとも限らない。こういうときに好んで海の側にいるのはバカらしいと思い、テントをトイレのある場所まで移動した。パッキングしたりせずテントを張ったまま3往復して荷物も運び終えた。何があるかわからないので、すぐに出発できるようにした方がいいかもしれないと思い、テント以外の荷物をパッキングして、いつでも出発できるように着替えておいた。
すでに明け方が近い、このまま出発してしまおうかとも考えたが、この先も海岸線沿いを歩くことになるわけで、暗くてまわりがよくみえない状態で歩くのは返ってよくないかもしれないと思い、朝を待つことにした。とても寝れるような心境ではなかったが少しでも体を休めておいたほうがいいだろうと、横になって目をつむった。
出納帳
ブロックチョコ(ローソン) 108円
イカミリン(ローソン) 108円
コーヒー(ローソン) 108円
コーラ(ローソン) 108円
チョコビス(ローソン) 108円
新潟仕込みうす焼きせんべい(ローソン) 108円
玉子とうふ(ローソン) 98円
パスタ1.6mm(ローソン) 152円
明太ポテトサラダ(ローソン) 148円
【集計】
宿泊費:0円
風呂:0円
洗濯:0円
食費:1046円
日用品:0円
お参り:0円
合計:1046円
ルート
・ルート:6:55土佐ユートピアCC-(送迎)-7:03道の駅びおす大方7:07-7:45ローソン黒潮町大方店7:50-8:30ローソン黒潮町入野店8:45-11:25ローソン四万十竹島店11:40-12:06四万十大橋-四万十川野鳥自然公園-13:06ヘンロ小屋四万十13:50-15:35ドライブイン水車15:40-17:25下ノ加江海岸(泊)
・合計時間: 11時間47分
・合計距離:32.00km
・最高点の標高: 90m
・最低点の標高: 0m
・累積標高(上り):406m
・累積標高(下り):406m
25日目GPS(ヤマレコ)
ソライロノート
熊本を震源とする巨大地震が発生し、高知の海岸で大パニックになった夜だった。
実際に何か被害を受けたわけでもなく、津波があったわけでもなく、ただびっくりして一人で慌てふためいていただけであり、ある意味滑稽であるが、それでも僕にとっては恐ろしい夜だった。
震源地から遠く離れた高知の浜辺でさえこんな恐ろしい思いをした。実際に震源地近くに住んでいる方々は、想像できないほどの恐ろしさがあっただろうし、たくさんの人的被害、物理的被害が起きたことは周知の事実だろう。
被災者の方々に謹んでお悔やみとお見舞を申し上げると同時に、一日も早い復興をお祈りいたします。
26日目へ続く
【ソライロ遍路準備編】
【ソライロ遍路移動編】
0日目 沼津から四国に向けて、いざお遍路の地へ!
54日目 家に帰るまでがお遍路
【ソライロ遍路各県初日】
徳島編:1日目-1 ソライロ遍路スタート!
愛媛編:30日目-1 松尾峠を越え、第三の地伊予の国へ
香川編:46日目-2 やまじ風吹き荒れるなか六十六番札所雲辺寺、初めての通夜堂泊
【ソライロ遍路高知編】
11日目-1 朝から雨、徳島から高知へ入る
11日目-2 魔の55号線で大きな痛手
12日目-1 二十三番札所から三日目、食べても食べても力が入らず
12日目-2 フラフラになりながら室戸岬にたどり着く
13日目-1 高知初の札所に到達しyoutube仲間の陣中見舞い
13日目-2 道具と食材と体と心を整える
14日目-1 雨の中、二十六番札所金剛頂寺へ
14日目-2 田野町の温泉に入り、二十三士公園に野宿
15日目-1 真っ縦を登り二十七番札所神峯寺へ
15日目-2 真っ縦の登り返し後、温泉に入れず公園野宿
16日目-1 長く苦しかった国道55号線が終わる
16日目-2 少年の導き
17日目-1 雨の遍路みちを歩き、二十九番札所国分寺へ
17日目-2 三十番札所善楽寺から打ち戻り、一宮墓地公園へ
18日目-1 三十一番札所竹林寺~三十二番札所禅師峰寺
18日目-2 車救出後、種崎千松公園へ
19日目-1 浦戸大橋の一番高い所からの風景を眺め、三十三番札所雪蹊寺~三十四番札所清龍寺へ
19日目-2 三十五番札所清瀧寺後、窪地休憩所にて野宿
20日目-1 三十六番札所青龍寺
20日目-2 龍温泉に入り、ゆる~い一日に
21日目 浦ノ内湾の北岸を歩き、土佐市から須崎市へ
22日目-1 焼坂峠を越え中土佐町へ
22日目-2 添蚯蚓遍路道を歩き四万十町へ
23日目-1 三十七番札所岩本寺から水車亭でスイーツ休憩
23日目-2 猿田彦神社に寄り道し、土佐佐賀温泉こぶしのさとへ
24日目-1 熊井隧道を抜け、再び高知の美しい海へ
24日目-2 ベテランお遍路に叱られ凹みつつ、ゴルフ場に泊まる
25日目-1 四万十ブルーに見惚れ、10年後に思いを馳せる
25日目-2 下ノ加江海岸で初めての砂浜野宿
25日目-3 その夜
26日目-1 足摺岬へ向かう途中、以布利港でジンベイザメに出会った
26日目-2 四国最南端足摺岬へ
27日目-1 足摺半島をぐるっと周り、中浜万次郎生家に寄り道
27日目-2 足摺半島西岸を歩き、バス待合所で野宿
28日目-1 食料計画が崩れる
28日目-2 雨の月山詣でと命の梅干し
29日目-1 宿毛の遍路小屋であやしげな老人に出会う
29日目-2 デポ作戦を決行し、高知最後の札所へ