※ソライロ遍路53日間の全貌、ツイートしきれなかった部分も余すところなく織り込んでます。
4月19日、お遍路29日目その2。
お遍路29日目、大月町から宿毛市に入る。宿毛の二つ目の遍路小屋にてお昼を食べたあと、三十九番札所の延光寺へ向けて出発した。
その1はこちら。
宿毛の遍路小屋であやしげな老人に出会う
デポ作戦決行
遍路小屋を出ると、すぐに松田川を渡る。
橋を渡りながら考える。さて困った。延光寺までまだ5キロくらいあり最後は山道だ。しかもこの5キロを打ち戻って来なければならない。遍路小屋でザックを置いていければ空身で歩けたのだが、20キロのザックを背負って行くとなると雲泥の差だ。
これなら宿毛駅に寄って有料でザックを預けれてくればよかった。
どこかお店があれば、ダメ元で頼んでみるのもありかもしれない、、、。
橋を渡りきったところで、ふとアイディアが浮かんだ。
この橋の下にデポするのはどうだろう?
橋を歩いている人からも見えないし、川沿いの土手を歩いてる人からも見えない。土手の下の川のすぐ横を歩いている人からも見えないだろう。うってつけの場所のように思えた。
気になるのは遍路小屋にいた怪しげな自転車のご老人だったが、まだそれほど離れていない遍路小屋からも死角になっていることを確認する。
もちろんリスクもある。こんな重たいザックをそのまま持ち去る人はまずいないだろうが、こんなところに放置したら何があっても文句は言えない。あくまでも自己責任である。
不安はあったが身軽さの誘惑には勝てず、この場所にザックをデポしていくことに。
空身で延光寺へ
お参りに必要な道具、金剛杖、水、行動食のみ最小限の荷物だけでほぼ空身という格好になり、いざ延光寺へ。
往復で約10キロ弱の道、たかが10キロ、されど10キロ。この距離をザックを背負わずに歩けるのは非常にありがたかった。ただ、大丈夫だろうか?という若干の不安を抱えつつ、延光寺への道のりを急ぐ。
国道56号線沿いの道を4キロほど歩き、残り数百メートルでお寺への参道に入る。これが山道となっていてなかなか良い。身軽さも相まって歩いていて楽しい。体が軽くなると心も軽くなる。
高知最後の札所延光寺に到着。
三十九番札所延光寺
まずは仁王門。
自撮り。
仁王門をくぐるとすぐ右手に梵鐘をのせた赤亀。竜宮に住んでいた赤亀が背中に銅の梵鐘を背負ってきたという伝説があり、これにちなんで山号、寺名を「赤亀山延光寺」としたそうな。
本堂。
水子地蔵尊。
観世音菩薩像。
御朱印。
お寺の前に無人販売所があったので覗いてみる。大師せんべい、文旦漬などがあったのが一番気になったのが宿毛名物きんぼというお菓子。ちょっとお高くて400円もしたが、持ちがよさそうなので非常食としていいかもしれない。思い切ってきんぼを購入した。
次の札所まで25.8キロ。まずはザックをデポした場所まで打ち戻る。
回収
なるべく急いで橋まで戻る。まず間違いはないだろうと思ってはいるが、それでも何かあったらお遍路を中断することになりかねない。
歩きながらザックが盗まれたらどうするか考えてみる。最低限の荷物だけ買い直すしかないだろう。ザック、寝袋、テント、テントマット、モバイルバッテリーは必須だろう。自炊道具は少し優先度が下げよう。質が落ちてもいいので安いもので済ませて2万円以下に押さえたい。逆にいうと、万が一ザックがなくなっていたとして、これだけ揃えればなんとかなるような気がしてきた。漠然とした不安も、やりようはあるだろうと思えれば不安は薄れる。
そんなことを頭の中で考えながら橋まで戻ってきた。
ザックは何一つかけることなく、置いた場所にちゃんとあった。
一安心だ。
橋を渡って遍路小屋に戻る。あの怪しげな老人がもういなくなっていることを願いつつ、、。
寝床探し
遍路小屋は誰もいなかった。
少し気に過ぎかもしれないが、もし夜になってあの老人がここに戻ってきたら嫌だなぁという気持ちもあったので、別の寝床候補も探しておきたい。
時刻は16時前、進んでしまってみつからないと困るので、ここに戻ってこれる範囲で少し歩いてみることにした。
歩いてみると、このあたりは普通の住宅街のようだ。近くに小学校や中学校もあり、コンビニやらお店やらもそこそこある。
宿毛市役所の横に小さな公園をみつけた。テントを張れるスペースはある。トイレ、水場はなかったが、近くにコンビニがあるので、水やトイレは困らない。ここでもいいかもしれないと思い、ベンチに座って少し様子をみてみる。しかし、隣に役所があるせいか人の出入りが結構ある。日が落ちれば少し変わるだろうが、何もせずに待つのが億劫になりやめた。やっぱり遍路小屋に戻ろう。
戻る途中、ローソンによりミートボール、にんじん、牛乳をゲット。
遍路小屋に戻ると、二人組のお遍路さんがいた。お話をしてみると韓国のご夫婦で通しでまわられてるのだとか。しかも僕と同じくらいの出発日なので似たようなペースでここまで来られたようだ。初めてのお遍路、日本語は片言、文化の違う外国の地ので野宿、僕なんかよりももっと大変な思いされながら歩いて来たのだろう。お話をしていて伝わってきたのはとてもフレンドリーでおだやかで日本びいきなお二人ということ。楽しいひとときだった。一人で遍路小屋だと今日は不安だったが、同じお遍路さんがいるのは心強かった。
日も落ちてきたので遍路小屋にテントを張る。この遍路小屋は大きいのであと2つくらいはテントが張れそうだった。奥のオレンジ色のテントは韓国メーカーのものだそうだ。
夕飯
夕飯はパスタ。今日はカリオストロ風ミートボールトマトクリームパスタにしてみた。
お遍路で食べた自炊遍路飯のレシピを紹介するシリーズ(インスタント麺を除く)、今回は29日目の夕飯に作った「カリオストロ風ミートボールトマトクリームパスタ」です。 [adcode] 材料 […]
出納帳
・芋けんぴ(ローソン) 108円
・サッポロ一番塩らーめん(ローソン) 108円
・ブロックチョコ(ローソン) 108円
・1本満足チョコタルト(ローソン) 130円
・SOYJOYクリスピーベリー(ローソン) 124円
・ガスボンベ(ローソン) 268円
・土佐宿毛名物きんぼ(延光寺) 400円
・お賽銭(延光寺) 20円
・納経代(延光寺) 300円
・にんじん(ローソン) 100円
・高知牛乳200ml(ローソン) 85円
・ミートボール(ローソン) 98円
【集計】
宿泊費:0円
風呂:0円
洗濯:0円
食費:1261円
日用品:268円
お参り:320円
合計:1849円
ルート
・ルート:6:34ふれあいパーク大月-7:00ローソン大月町弘見店7:28-10:16道の駅すくも10:28-10:59松田川大橋-11:40ヘンロ小屋宿毛(昼飯)12:25-13:47三十九番札所延光寺14:13-15:44ヘンロ小屋宿毛-16:20春長児童公園16:40-16:50ローソン宿毛中央七丁目店17:04-17:30ヘンロ小屋宿毛
・合計時間:9時間54分
・合計距離:30.63km
・最高点の標高: 115m
・最低点の標高: 0m
・累積標高(上り):516m
・累積標高(下り):614m
29日目GPS(ヤマレコ)
ソライロノート
山でザックをデポしたことはあったが、町中でははじめて。何があるかわからないリスキーなやり方なのでおすすめはしない。何もなかったのは単に運がよかっただけ。だがそのおかげで、いつもと同じくらい歩いたにもかかわず、少し歩き足りないくらいかもと思えるくらいの疲労度だった。
修業の道場と言われる高知ともこれでお別れ。このあたりで距離的にはお遍路全体のちょうど半分くらいらしい。
魔の55号線をひいひい言いなら歩いたのが懐かしく思える。室戸岬から海沿いを歩き続け、足摺岬をぐるっとまわってこの地まで歩いてきた。文字通り高知の端から端まで歩いてきたのだ。高知は広く、きつかったけど楽しくもあった。いろんな出会いもあり、苦しいこと、恐ろしい思いもした。高知で出会ったすべての方々にお礼を、ここまで進んでこれたことに感謝を。
明日にはいよいよ、菩提の道場と言われる伊予の国へ!
30日目へ続く
【ソライロ遍路準備編】
【ソライロ遍路移動編】
0日目 沼津から四国に向けて、いざお遍路の地へ!
54日目 家に帰るまでがお遍路
【ソライロ遍路各県初日】
徳島編:1日目-1 ソライロ遍路スタート!
高知編:11日目-1 朝から雨、徳島から高知へ入る
香川編:46日目-2 やまじ風吹き荒れるなか六十六番札所雲辺寺、初めての通夜堂泊
【ソライロ遍路愛媛編】
30日目-1 松尾峠を越え、第三の地伊予の国へ
30日目-2 愛媛最初の札所観自在寺、公園野宿を見逃していただく
31日目-1 激しい雨風の56号線を歩き、ゆらり内海で休憩
31日目-2 密室の遍路小屋で怪しげな先客と二人きり
31日目-3 遍路小屋の夜
32日目 体調不良で急遽宿に泊まる
33日目-1 病み上がりのリハビリ歩き
33日目-2 雨のなか3日ぶりの納経後、道の駅泊
34日目-1 四十二番札所佛木寺から歯長峠越え
34日目-2 四十三番札所明石寺後、遍路小屋で一人焼肉
35日目-1 鳥坂峠を越え、予定外の臥龍の湯に浸かる
35日目-2 野宿の聖地十夜ヶ橋の下で寝る
36日目-1 ありがたいお接待を受けながら内子町へ、小田川沿いの木材動物アートに癒やされる
36日目-2 農祖峠ルートを選び、道の駅小田の郷せせらぎに
37日目-1 雨の農祖峠を越え久万高原町へ
37日目-2 八十八分の四十四番目はどしゃぶりの大宝寺、その後アクシデント発生
38日目-1 恐怖の峠御堂トンネルを抜け、いやしの宿八丁坂さんにザックを預ける
38日目-2 空身でらくらく八丁坂を越え、四十五番札所岩屋寺へ
38日目-3 体調に異変が生じる中、レストパーク明神へ
39日目-1 目覚めの恐怖を乗り越え、四十六番札所浄瑠璃寺で手のモデル!?
39日目-2 お遍路もGWの賑わい!四十七番札所~四十八番札所
39日目-3 GPSトラブルがありつつも、衛門三郎伝説の五十一番札所石手寺へ
39日目-4 道後温泉に入り道後公園に泊まる
40日目-1 朝からトラブルも地元の方に導かれ五十二番札所太山寺、五十三番札所円明寺へ
40日目-2 9日ぶりに海を眺め、文化の森公園に泊まる
41日目-1 松山市を抜け、瓦と石油基地の町菊間へ
41日目-2 五十四番札所延命寺~五十五番札所南光坊、駿河か伊豆かで悩む
42日目-1 五十六番札所泰山寺~五十八番札所仙遊寺、油断して体力消耗
42日目-2 五十九番札所国分寺、明日に備え最後のゆうパック
42日目-3 お遍路おじいさんに再会後、臼井御来迎に泊まる
43日目-1 愛媛のラスボス!?石鎚山中腹の横峰寺に挑む
43日目-2 シャクナゲが華やかな六十番札所横峰寺から雨雲と競争しながら下山
44日目-1 六十一番札所~六十三番札所、石鎚神社で御神水カエル発見!?
44日目-2 六十四番札所前神寺後、導かれるように善根宿へ
45日目 夏のように暑い一日、新居浜市から四国中央市へ
46日目-1 愛媛最後の札所、六十五番札所三角寺へ