※ソライロ遍路53日間の全貌、ツイートしきれなかった部分も余すところなく織り込んでます。
3月27日、お遍路6日目その2。
14時半過ぎに十九番札所立江寺を出発。歩きお遍路さんに約3.5キロ先の善根宿を教えていただく。バッテリーの残量はまだあるので宿泊は必須ではないが、疲れが溜まっていてもう歩きたくなかったので善根宿を目指すことにした。
6日目その1はこちら。
十八番札所恩山寺~十九番札所立江寺
善根宿へ
天気がよく日差しが強い。歩いていると汗がだらだらと流れ落ち、暑さで残り僅かな体力も奪われていく。
後ろからきた2人組みのお遍路さんに声をかけられる。1人は焼山寺でお見かけした女性だ。
「暑くて大変だねぇ、そのソーラーで足の充電はできんのかの?^^」
いやぁ、ホントに!ソーラー充電で足が動いたら最高なのになぁ~w
2人の歩きお遍路さんは軽そうな荷物ですたすた先に行ってしまう。「人は人、マイペースマイペース」と言い聞かせるが、自分も荷物が軽ければあのくらい歩けのに、、、と恨みがましい気持ちが湧いてきてしまう。その後も何人かのお遍路さんに追い越される。
わずか3.5キロがものすごく遠く感じ、倉庫の前のスペースになっているところで休ませていただく。休むときは靴を脱ぐ。脱ぐ瞬間に激痛が走るがすーっと楽になる。
あらためて地図で場所を確認、もうそんなの距離はないはず。靴を履きなんとか歩き出す。
法泉寺バス停横に「寿康康寿庵」と書かれた建物があった。
教わった善根宿にようやく到着だ。
時刻は16時過ぎ。窓から人影が見え、中から和気藹々と楽しそうにしている声が聞こえてきた。ちょっと入りづらいなぁ、、と思いつつもノックをして中に入る。
畳3畳くらいのところに4人くらいのお遍路さんがくつろいでいた。
挨拶をして近くにいた年配の方に様子を聞いてみる。みなさん今日宿泊されるそう。この混雑した状況では自分はあまり歓迎されていないだろう。
どうしようかと考えていると
「土間なら寝れるんじゃない」
と言われた。
「俺達のスペースには入り込んでくるなよ」そう言われている気がしてしまった。
混雑しているところに気を使いながら土間で寝るくらいなら、どこかで気兼ねすることなくテントを張って寝たほうがいいかなと思えた。
「混雑しているようなので別の場所を探します」と言って宿を出ようとすると
「ホントに良いんですか?」
なんというか心配して言ってくれてるより、形だけ声をかけただけのような気がした。本音では「あーよかった」と思ってるんじゃないかと、、、
「他にもあてはあるんで」と言い残し宿を後にする。
こんなところ泊まりたくないわという思いだった、、。歩きお遍路さん同士は助け合うものなのにあの態度はないだろう?ああいう人たちは自分たちさえよければいいんだろうな、あんなんでよくお遍路してるなんて言えるよな、、、
実際は全くそんなことはなかったのだが、なんだか追い出されたような気分になり愚痴ばかりが出てくる。
あてはここから6.5キロ先の道の駅しかなかった。体は疲れ果てていたが意地でも歩いてやるという気持ちになっていた。
道の駅へ
普通の人なら1時間で4キロくらい歩けるだろうが、僕の場合は疲れてない時で3キロ、疲れていると2~2.5キロくらいしか歩けない。
6.5キロということはまだ3時間近くかかるかもしれない。
道路脇のベンチのようなところをみつけたので休憩をとる。
昨日おやすみなし亭でいただいた八朔をまだ食べていないことを思い出し、皮を剥いて食べる。甘酸っぱい酸味が疲れた体に染み込む。
少し冷静になり宿でのやり取りを思い返してみる。ただ単に僕自身がものすごく疲弊していて心が偏屈になっていただけだなのだろうという気がしてきた。自分もあそこに泊まると言えばきっと普通に受け入れられただろう。あのお遍路さんたちは何も悪くない。自分は何をやってるんだう、、自己嫌悪だ。
とにかく今日は早く休みたい。道の駅まで急ごう。
道を歩いていると車が歩道側に寄せるようにして止まり、下りてきた女性から「お遍路さん」と声をかけられる。
お接待としてお菓子の詰め合わせをいただいた、、、ありがたい。
道の駅に着く前に食材を購入しておく。スーパーがみつからずローソンに入る。
今日はカレーをがっつり食べて気分を晴らそうと思い、カレールウ、じゃがいも、納豆などを購入。いらない箱や袋はその場でごみ箱に捨てた。
辺りが暗くなり始める。まだ道に駅までは2キロ近くある。この2キロが遠い、、、タイミングの悪いことに雨がポツポツと降り出し、徐々に激しくなる。
屋根のあるところをみつけ、レインウェアを着こみザックにはカバーし頭にヘッデンを装着。
雨は結構激しくなる。歩いてるとメガネにも雨があたり視界が悪くなってきた。しかも道は歩道が狭く歩きにくい。
危険を感じるのでザックに反射テープと小ライトつける。
これが車から見てどの程度効果があるのかわからないが、つけないよりはマシだろう。車が通るたびに端によけるが、車の水しぶきがかかってしまう。
惨めな気分だった。
雨が冷たい。レインウェアを着ていても体は濡れてしまうが、とにかく歩くしかない。大きな明かりがみえ、あれが道の駅だろうか?と思い、もう少しもう少しと歩き近づいたら違うお店だった。そんなことが2回くらい続く。」
川沿いの提灯の明かりが見えた。あと少し。
道の駅ひなの里かつうらに到着することができたのは19時だった。
敷地内に遍路小屋もある。
中をのぞいてみる。テントは広さ的にギリギリ張れそうではあったが、通りに面していて車の出入りもあるし落ち着いて寝れそうもない。
ヘンロ小屋より道の駅の敷地内の開いているスペースの方がいいかもしれないと思うが、道の駅での野宿は初めてであり、どこにテントを張るべきか悩む。人のいない山の中なら何も気にすることはなく張りやすいところに張るだけだ。こういう人の出入りが多くいろんな人がやってくるところは、ちょっとおかしな人に絡まれる可能性だってゼロではない。そう考えるとかえってこういうところの方が怖い。
道の駅内をウロウロ歩き、一応目立たなそうところをみつけテントを張る。
雨の夜は寒くなりなのでヘンロ小屋に置いてあった毛布を1枚拝借。テントの中に入り落ち着いたのは19時半過ぎだった。
夕飯
夕食を作る。今日の遍路飯は初めてのカレーだ。
じゃがいもは時間がかるので麦を炊くときに一緒に入れる。
干し野菜たっぷりカレー。
麦飯とカレーがよく合ってうまい。
仕上げに納豆をのせて食べた。
お遍路で食べた自炊遍路飯のレシピを紹介するシリーズ、今回は6日目の夕飯、14日目の夕飯など何度も作った「納豆カレー麦飯」です。 [adcode] 材料 ・押麦 1合・水 1.8カ[…]
出納帳
・お賽銭(恩山寺) 20円
・納経代(恩山寺) 300円
・お賽銭(立江寺) 20円
・納経代(立江寺) 300円
・納豆3パック 78円
・じゃがいも 108円
・カレールウ 118円
・ヒガシマルうどんスープ 130円
今日 | 全期間 | |
---|---|---|
宿泊費 | 0円 | 0円 |
風呂 | 0円 | 770円 |
洗濯 | 0円 | 200円 |
食費 | 434円 | 1,762円 |
日用品 | 0円 | 950円 |
お参り | 640円 | 14,700円 |
お接待 | 0円 | 100円 |
合計 | 1,074円 | 18,282円 |
※予算は10万円です。
ルート
Googleマップ(別窓)
・ルート:河原6:56-11:04十八番札所恩山寺11:27-14:08十九番札所立江寺15:11-16:10寿康康寿庵16:15-17:40ローソン17:50-19:02道の駅ひなの里
・合計時間: 12時間06分
・合計距離: 27.8km
・最高点の標高: 92m
・最低点の標高: 1m
・累積標高(上り):205m
・累積標高(下り):188m
6日目GPS(ヤマレコ)
ソライロノート
振り返ってみても善根宿のお遍路さんは何もおかしくない普通の対応だった。あんな風に感じてしまったのは心身ともに疲弊困憊し、すさんだ気持ちになっていたせいだろう。
何もかも疲れてるせいだ。足裏の痛みも引かないし体もずっしりと重く思うように歩けない。体だけでなく気持ちもマイナス思考になっている。
毎日ぎりぎりまで歩いていたら状況は改善しそうもない。明日は早めに切り上げて少しリフレッシュした方がいいかもしれない。
地図を見て明日の行動計画をたてようとしたが強烈な睡魔が襲ってきて、頭が回らなくなっていた。そのまま地図を開いたまま眠ってしまった。
7日目に続く。
【ソライロ遍路準備編】
【ソライロ遍路移動編】
0日目 沼津から四国に向けて、いざお遍路の地へ!
54日目 家に帰るまでがお遍路
【ソライロ遍路各県初日】
高知編:11日目-1 朝から雨、徳島から高知へ入る
愛媛編:30日目-1 松尾峠を越え、第三の地伊予の国へ
香川編:46日目-2 やまじ風吹き荒れるなか六十六番札所雲辺寺、初めての通夜堂泊
【ソライロ遍路徳島編】
1日目-1 ソライロ遍路スタート!
1日目-2 お遍路の洗礼と逆打ち先輩との出会い
2日目 初めてのお接待体験
3日目 最大の難所焼山寺に向け万全の準備
4日目-1 遍路ころがし焼山寺に挑む
4日目-2 遍路ころがしを越えた先
5日目-1 人それぞれの遍路道
5日目-2 十三番札所大日寺~十七番札所井戸寺
5日目-3 地蔵越遍路道を越え初めての河原野宿
6日目-1 十八番札所恩山寺~十九番札所立江寺
6日目-2 心身ともに疲労困憊
7日目-1 遍路ころがし鶴林寺越え
7日目-2 小学校に泊まろう!
8日目-1 遍路ころがし太龍寺越え
8日目-2 二十二番札所平等寺から弥谷観音前休憩所へ
9日目-1 海沿いを歩き二十三番札所薬王寺を目指す
9日目-2 薬王寺と温泉とひとり野宿
10日目-1 室戸岬への長い道のりの始まり
10日目-2 牟岐町から海洋町へ、徳島最後の夜