※ソライロ遍路53日間の全貌、ツイートしきれなかった部分も余すところなく織り込んでます。
3月26日、お遍路5日目。
4時過ぎに目が覚める。5日目の朝を迎えた。山の中での野宿はまずまず快適でこれまでのお遍路での夜の中でもよく眠れた方だった。
4日目はこちら。
1 最大の難所焼山寺に向け万全の準備
2 遍路ころがしを越えた先
朝飯&出発
朝飯は昨日の夕飯の残りを温めなおし、アクセントに一味をふって食べる。
テントを撤収してパッキング完了。
若干体が重い気がするが歩いていれば調子が出てくるかもしれない。次の札所まで約12キロ、5:39に出発した。
出会い
林道を少し歩く。昨夜は暗くてよく見えなかったが山は対して深くない。少し歩くと川に出て橋を渡る。橋といってもこんな感じ。こんなところは地元の方とお遍路さん以外は通らないだろう。
橋を渡っているとチョロチョロと目の前を横切るものが!?あわててカメラを取り出したがピントが合わず、フレームには収められなかった。多分イタチだったと思う。
こういう河原は野宿もできそうだ。昨日の夜、もうちょっと先まで歩いていればここにたどり着いていた。ただ真っ暗な中で河原にテントを張るのも勇気が必要な気がする。
川を渡ると普通の車道になり、鮎喰川沿いの道を歩く。
川沿いは野宿ポイントがいたるところにあった。特に橋の下周辺はよさ気だ。こういう場所なら朝早く撤収すれば、周辺の住人の人の目につくこともなく一夜を過ごせそうだ。
すぐ近くに公衆トイレあり、いいポイントだ。
川沿いの八重桜がキレイ。
無人販売所で八朔が1袋100円で売っていた。
1袋に5個も入っていて超お得だが、歩き遍路的にとっては量が多すぎる。八朔なら2個で十分だ。バラ売りしてくれるとありがたいのだが、、食べたいけど諦める。
広野郵便局の先の橋を渡る。ここの橋の下も広い河原になっていて野宿ができそうだ。
橋を渡ると国道に出て車の交通量が増えた。ここで焼山寺のあと分岐した温泉ルートと合流したことになる。
道沿いに枝垂れ桜の枝がいい感じに垂れている。まだ少しつぼみがあるがなかなか良い。
その先の神山森林公園ではさくら祭りがやっていた。ソメイヨシノやら山桜なんかが見頃をむかえていた。
ここまでお遍路さんとは1人もみかけない。昨日はあんなにたくさんのお遍路さんに出会ったのに。他の方たちはもうずっと先に行ってしまったのかなぁ、、、背負っている荷物の重さが違うとは言え、どんどん追い抜かれ差をつけられていくのはやはり切ない。
今日は朝から体が重い。昨日の疲労が全然抜けていない感じだ。まだ8時過ぎで2時間程度しか歩いていないのに、すでに体が疲れている。
こんなんで今日一日歩けるのだろうか、、、今日だけじゃない、まだまだこれから数十日も続く遍路道1200キロを歩けるのだろうか、、、突然無性に不安になってくる。
いやいや、昨日はお遍路最大の難所と言われる遍路ころがしを越えただけでなく30キロ近く歩いたのだから、疲労が残っていてもおかしくない。そういい聞かせ自分を奮い立たせる。
小学校の近くにベンチがあったので、腰を降ろて休む。よく見たらバス停のベンチだった。小学校敷地内のトイレが公衆トイレとして開放されていた。こういうのはありがたい。
少し休んでまた歩き出す。前方から軽い荷物で軽快に歩いているお遍路さん。朝からダラダラと重い足を引きずって歩いている自分とはえらい違いだ。それでも歩きお遍路さん仲間の姿を見るだけで、自分だけじゃないと不思議と勇気をもらえる気がする。
空き地ようなところがあり道路側に休憩所があった。おやすみなし亭、お遍路さん休憩所とある。
今はとにかく休み休みゆっくり歩きたいので休憩所はありがたい。とりあえず中に入って休憩させてもらうと、ドアを開ける。、、、あれ、開かない。どうやら鍵がかかっているようだ。
案内の張り紙を確認してみる。「お接待品はご自由におとりください」「この休憩所の運営時間は午前8時から午後5時迄です」とある。
時間的には問題ないはず。土曜日だからだろうか、、、?
中をのぞいてみると、テーブルがあり、お接待品らしきお茶の缶やら飴などが見える。そういえば飴を1個も持ってないよなぁ、飴ほしいなぁ、、、ドア1枚を隔てたすぐ目の前にあるのに手に入らないと思うと無性に欲しくなってしまう。
のぞいていても惨めになるだけなので、外の空き地で少し休憩。
いつもの行動食、干し肉を食べる。少し休んだくらいで疲れはとれないが進むしかない。重い腰をあげ重いザックを重い足取りで歩き出しおやすみなし亭を後にしようとしたところ、、、少し離れたところから「お遍路さーん、お遍路さーん」と声が聞こえた。きょろきょろと辺りを見回してみると、空き地の奥の方からポットを手に持った女性が小走りでかけてくる。年は僕よりも10歳くらい上だろうか。
「今日はちょっと開けるのがおそくなっちゃったけど、お遍路さん、よかったら休んでって」とおっしゃってくださり、休憩所をあけてくださった。
ありがたく休ませていただいた。
中に入ると、暖かいお湯でコーヒーをいれていただいた。お遍路で飲む初コーヒーが疲れた体に染み込んでいく。インスタントのコーヒーをこんなに美味しいと思ったは生まれて初めてだった。
僕のザックをみて「荷物重たいでしょう。大変やねぇ、すごいねぇ」ととねぎらってくれる。
昨日はどこに泊まったのか聞かれる。山の中に寝たこと、なぜそんなところで寝るはめになったのかを話した。おかあさんによると、焼山寺のあとのもう一山はやはりみなキツイらしいく、あそこで音をあげる人が多いらしい。
僕はここまでのお遍路について話す。初めてのお遍路でわからないことだらけで毎日行き当たりばったり。荷物は重く想像以上に歩けない。他の歩きお遍路さんにはどんどん抜かされていく、、、と。
おやすみなし亭のおかあさんは、いろいろとアドバイスをしてくれた。
野宿は遍路小屋、道の駅はたまに禁止のところもあるがだいたいOK。それ以外では川沿い、橋の下、善根宿が良い。たまには疲れをとるために宿に泊まるのもおすすめ。探せば安い宿もある。
この先の具体的な野宿場所も何箇所か教わる。今晩の寝床ポイントも2つ教えていただく。
場所を探すのも最初は大変。テントを担ぐとなると荷物も重くなる。いい野宿ポイントがあっても近すぎたり通る過ぎたりでちょうどよい場所にあるとは限らない。行き当たりばったりになるのも仕方がないと言ってくださった。
遍路地図の見方も教わった。まず地図をみて一日の計画を立てる。平面上の地図だけでなく標高も確認する。大きな地図で四国全体のどこを歩いているかも理解しておくと良い。
へぇ~と思ったのが平成へんろ石の話。遍路地図には平という字の横に数字が書かれているものがいくつもある。これが平成へんろ石のある場所を表している。平成とついてるのはもっと古い昔からのへんろ石もあるからだ。
数字はそれぞれのへんろ石にふられた通し番号だ。ちなみに「おやすみなし亭」の前にも遍路石がある。ここはちょうど88という番号が振られている。このへんろ石をチェックしながら歩くのも面白いそうだ。
これから先、たくさんのトンネルがある。歩道の狭いトンネルは危険なので、反射テープなんかがあるといいと腕に巻く反射クリップをいただいた。それから八朔と飴ちゃんも^^
最後にこんな言葉をいただく。
「人は人、自分は自分なんだからあせらくていいよ。人生と一緒、いろんな生き方があるように、その人その人の遍路みちがある。あせると何も見えなくなる。四国の景色や花を楽しみながら自分のペースで歩けばいい」
歩き遍路の心がけだ。なんだかものすごく気持ちが楽になり、体も軽くなった気がした。
何度もお礼をいって、おやすみなし亭を後にした。
5日目-2に続く。
ソライロノート
【ソライロ遍路準備編】
【ソライロ遍路移動編】
0日目 沼津から四国に向けて、いざお遍路の地へ!
54日目 家に帰るまでがお遍路
【ソライロ遍路各県初日】
高知編:11日目-1 朝から雨、徳島から高知へ入る
愛媛編:30日目-1 松尾峠を越え、第三の地伊予の国へ
香川編:46日目-2 やまじ風吹き荒れるなか六十六番札所雲辺寺、初めての通夜堂泊
【ソライロ遍路徳島編】
1日目-1 ソライロ遍路スタート!
1日目-2 お遍路の洗礼と逆打ち先輩との出会い
2日目 初めてのお接待体験
3日目 最大の難所焼山寺に向け万全の準備
4日目-1 遍路ころがし焼山寺に挑む
4日目-2 遍路ころがしを越えた先
5日目-1 人それぞれの遍路道
5日目-2 十三番札所大日寺~十七番札所井戸寺
5日目-3 地蔵越遍路道を越え初めての河原野宿
6日目-1 十八番札所恩山寺~十九番札所立江寺
6日目-2 心身ともに疲労困憊
7日目-1 遍路ころがし鶴林寺越え
7日目-2 小学校に泊まろう!
8日目-1 遍路ころがし太龍寺越え
8日目-2 二十二番札所平等寺から弥谷観音前休憩所へ
9日目-1 海沿いを歩き二十三番札所薬王寺を目指す
9日目-2 薬王寺と温泉とひとり野宿
10日目-1 室戸岬への長い道のりの始まり
10日目-2 牟岐町から海洋町へ、徳島最後の夜